「薬事」ってどんな仕事?資格不要で女性にお勧めしたい理由について
医薬品・医薬部外品・化粧品などの業界に勤めていると、「薬事」という言葉を耳にしたことがあると思います。
しかし、薬事とはどんな仕事なのか答えられる方はほんの一握りでしょう。
ましてや、医薬品等の業界への就職を目指す学生にすら全く知られていない職種でしょう。
ですが、知られていないからこそ、穴場職種で、しかも女性にとってはとても良い職種だと言えます。
今回はそんな「薬事」ってどんな仕事をするのか?資格は必要なのか?そしてなぜ女性にお勧めしたい職種なのか?を、とある化粧品メーカーで薬事の仕事を経験した私がご紹介します。
Contents
薬事ってどんな仕事?
「薬事」という職種をひとことで言うと、「行政に対しての申請書類を作って提出する部隊」です。
他にも、「法律に基づいて色んなものをチェックする部隊」です。
そう言われても、全く意味が分かりませんよね。
医薬品・医薬部外品・化粧品というのは、その製品を作って販売する前に、国や県などの行政機関に申告をしなければならないのですが、その申告するための書類を作って、提出するのが薬事のメインの仕事内容です。
もう一つは、医薬品・医薬部外品・化粧品には色んな法律が絡んでくるのですが、その法律に基づいて、製品のパッケージや容器の表示内容などをチェックすることも薬事の仕事です。
その他にも業界やそれぞれの会社によって仕事内容は変わってきますが、「薬事」といえばこの2つがメインの仕事です。
ちなみに私は海外輸出に関する資料を作成したりもしていました。
こう見ると、かなり堅そうで、難しそうな仕事に思えますが、実際そうな部分と、そうでない部分があります。
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資格は必要?どんな人が働けるの?
文章にするとかなり堅い仕事をしているイメージの「薬事」ですが、実は資格は必要ありません。
特別なスキルも必要ないですし、そもそも薬事のための資格はありません。
じゃあどんな人が「薬事」担当として働けるのか?と気になると思いますが、「薬事」は理系・文系どちらでも仕事ができます。
薬事のことを勉強できる大学の学部や専門学校もないので、薬事として働く100%の人が、仕事をしてから初めて薬事というものを勉強します。
それなら大したことない?と思うかもしれませんが、実際は法律に基づいて仕事を進めていったり、お役所の人と接するので、簡単ではありません。
目の前の事柄が正しいか正しくないか分からない、悶々とする中で仕事を進める、精神的ストレスは少なくない職種です。
ちなみに私の職場では「薬事」担当者が3名で、全員理系大学出身でした。
会社によっては理系を求めることも文系を求めることもあります。
例えば研究職のように、絶対理系しか応募できない、なんてことはありません。
ただし、会社のなかでは何をやっているか分からない、堅くて暗い職種というイメージがつきますし、花形の部署ではないので、黙々と仕事をすることが苦ではない人でないと、薬事はお勧めできません。
「薬事」は女性にお勧め
堅くて暗い職種のイメージがある「薬事」ですが、私個人としては、女性にこそお勧めしたい職種です。
その理由はいくつかあります。
長く続けられる
「薬事」という仕事は、専門学校や資格があるわけではないので誰でもできると言えばそうなのですが、逆に、この職種は基本中途でしか人を入れませんし、会社内での異動もほとんどありません。
薬事は続ければ続けるほど専門性が高くなり、経験値も上がるものなので、欠員が出た場合には、ほとんどの会社では中途を募集します。
欠員が出たからといって新卒を入れることはほとんどありません。(ただし、若い世代の育成という意味では新卒を採用することもあります。)
ちなみに私は新卒で入った会社で薬事に携わりました。(とてもレアだと思います)
ということは、一回薬事を経験すれば、同じ業界内であれば転職がしやすいので、それだけ長く仕事を続けられるということです。
また、出張もほとんどないので、子育て中でも急な出張に困ることはありません。
代わりが務まりにくい
「薬事」は代わりが務まりにくい職種です。
例えば営業は一人欠員が出たり、女性で産休などに入ってしまったとしても、他のメンバーで何とか補うことができたり、例えば他の部署から異動させることもできます。
しかし、「薬事」は専門性が高く、知識と経験が重要な職種のため、他の部署から異動してきた人では代わりが務まりません。
つまり、それだけ重宝される人材になれるということです。同業界で生きていくうえではかなりの強みになりますし、結婚して子供ができて産休育休に入る場合でも、会社を辞めるという選択肢を考える必要がありませんし、異動の心配もほとんどありません。
女性のほうが得意
「薬事」の仕事は細かい書類を作成したり、チェックをすることが多いので、女性のほうが向いています。
女性のほうが集中力が高い人が多いですし、細かい間違いに気づくことができます。
残業が少ない
「薬事」は、会社の中でも仕事量は多くないほうです。
会社の規模にもよりますが、会社の中で薬事担当というのは2~3名というところが多いです。
ということは1人あたりの仕事量が尋常じゃないのでは?と思うでしょうが、そんなことはなく、仕事量はそこまで多くありません。
一度に複数の商品が動くシーズンはたしかに忙しくなりますが、それでも薬事の仕事は、今日中に仕上げないと先方に迷惑がかかる!などの仕事の進め方ではないので、仕事を溜めこまず、サクサク処理していけば、比較的残業は少ないほうと言えます。
男女差がほとんどない
例えば営業は男性、事務は女性、といったように、男女雇用機会均等と言いつつ、日本はまだ男女格差が大きいですよね。
しかも女性は結婚出産して早い段階で現場を離れると思われがちなので、入社して数年すれば男女で給与の差が出てきてしまいがちです。
しかし、「薬事」という仕事は経験と知識がものを言う業務なので、男女の差が出にくいのです。
人数面でも男女比が半々です。
営業のように体力勝負の職種ではなく、残業も少ないので、例えば産休に入る直前まで全く支障なく業務を続けられます。
実際の給与の差については、私自身が同じ年代の人と一緒に業務をしたことがないのでお答えできませんが、男女差がつくほうがおかしい職種です。
その反面、成果というものを上げにくい職種なので、給料が上がりにくいということは確かです。
そのため、着実に実績を積み上げていくしかないです。
しかし、専門性が高く稀少な職種なので、給料は決して安いということはありません。
まとめ
私はたまたま新卒で入社した会社で薬事をやって、そこからずっと薬事に携わってきましたが、決して楽しい華やかな職種ではないので、時にはつまらなさというのも感じます。
それでも、専門性を高めればそれが強みになりますし、何より残業も少なく、長く続けられて男女差が生まれにくい職種というのは世の中的に見ても非常に珍しい職種だと言えます。
こんな理由から女性にお勧めしたい職種ということで紹介しました。
男女差が気に入らない!結婚して子供ができても仕事を続けたい!一つのことを極めてみたい!という女性には是非お勧めしたい「薬事」という職種についてご紹介しました。
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